TOP2015年 第6回 高校生の建築甲子園 審査結果発表


建築甲子園表彰式

2015年第6回高校生の建築甲子園表彰式(2016年1月)

同上(動画)


高校生の「建築甲子園」


2015年 第6回 建築甲子園審査総評


審査総評

期待と不安から始まった。 今回はサブテーマに“空家”を加えた最初の回であり、その影響がどう作品に反映しているかが気になっていた。けれども全体を見渡した時に、その危惧はなくなった。子ども、コミュニティ、小さな本屋、観光客などによる活用、地場産業と町の活性化につなげようとする試み、駅舎や謂れのある建物利用、現代建築の集合住宅への挑戦など、空家に対する多岐に亘る提案が並んでいた。いずれも学生諸君の真摯な取組みの成果だが、それはそのまま現在の空家問題の広がりであり、改めて全国的な課題と実感させられた。  “高校生による建築甲子園”に限って言えば、僅かながら参加校が増えたことを素直に喜びたい。また各地からの意見の中に、タイムリーなテーマで学生が取組みやすかったとあり、“空家”を提案した一人としてひとまずホッとした。一方、審査を進めるにつれて、どこかで見掛けたたような提案が目についたことも確かである。 様々なメディアに取上げられているだけに、提案側・審査側双方に既視感があったことは否めない。そして空家とそれがある環境、町や村との関係を捉えることがやや希薄と感じられた。今や北から南まで共通の課題であることは確かだが、空家対策を単独で解くことは難しい。やはり地域との関係、しくみづくりや協力、ネットワークから解決を図るというのが最も現実的な方法だろう。また空家が全国津々浦々、どこにでも起きていることから、大都市からの応募を期待していたが、従来と余り変わらなかった。残念だが、今後に期待しよう。

また今年は受賞作やベスト8以外に惜しい作品が目についた。例えば、山形県立新庄神室産業高等学校の計画。“空家をつなぐ”に惹かれたが、町を奥に引込むという魅力的なコンセプトを提案しながら、それを引継ぐ各戸平面に工夫が足りなかった。惜しい。豊田工業高等専門学校の“忘れられた小径”も惜しい。目のつけどころは良かったが、既存の街の道路網との関係や小径の空間性がもう一歩。計画した図面の小径を、自分たちで歩いてみたり、各地で話題になっている小径と較べてみたらどうだろうか。また、どう改善したらよいかをぜひ再提案して貰いたいのが、福井県立武生工業高等学校の“不便を知る家”。捉え方が面白いだけに惜しい。そして佐賀県立佐賀工業高等学校の炭鉱長屋リノベーション。今産業革命遺産が話題になっているタイムリーな計画。大町や近隣地域との具体的な応答が、もう少ししっかり捉えられていれば“千客万来”のリアリティが増したに違いない。

全体を通して、表現レベルが上がってきていると思われるが、こうした惜しい作品が目につくと、何故だろうかと考えざるを得ない。その要因の一つにやはりCADの弊害があるかも知れない。CADによる表現は、すぐに出来上がったように見える分、追求が浅くなる危険性があるので要注意。また表現が平準化し独自性を感じる作品が少なくなってきているのも、規定にも係らず説明文が長くなり、フォントが小さいのもCAD使用から起きてくることだろう。特に文字の大きさは、複数の審査委員が提案を見る場面を想像して貰いたい。レポートではない。審査する側からレイアウトや表現を見直すと、逆に何をどう伝えたらよいか、主張や筋立て、表現の方法が絞られてくる筈である。来年度の作品づくりに生かして貰えればと思う。

2015年 第6回 高校生の建築甲子園 優勝

エントリーNo.36 徳島県立徳島科学技術高等学校「つながり うまれた ものがたり 二条通りで『ハモトーク』」

選手/男子2名、女子2名

徳島県小松島市は、国鉄の軌道の廃止や1998年明石海峡大橋の開通を受けて衰退してしまった町という。かつて関西と四国をつなぐ玄関口として、旅客や商船の往来が盛んな港町であった。忘れられてしまった往時の二条商店街に対して、その懐かしい記憶、埋もれてしまった記憶を蘇らせようというのが、この計画である。提案は、特産物の京都料理を支える鱧やシラスの海産物に切っ掛けを求め、空家に様々な研究施設を設け、人々の関心をあつめ、交流の場や活気を取り戻すことが考えられている。商店街の活性化については、今までにも色々な案があったが、街に小さな研究所をバラまくというアイディアは面白そうである。恐らく海産物に関わる研究だろう。旧来の大量な人出の商店街は期待できないが、口コミやネットを介して徐々に関心が集る可能性はありそうだ。3段階に亘って進展を示すなど、計画のまとめ方や分かりやすい表現が評価されたが、研究所の具体像を示すなど、もう一歩突っ込んだ提案が欲しいところだ。また二条通り商店街は市と港のどこにあり、どういう関係かなどが示されていれば更に良かったと思われる。物足りない点はいくつかあるが、計画への初心と筋がいい。更に計画を深めることという宿題を託して優勝を贈る。もっとリアルに。(片山)

2015年 第6回 高校生の建築甲子園 準優勝/教育・事業本委員長特別賞

エントリーNo.28-②
国立明石工業高等専門学校 構想集合住宅。─みんなで創る空中のすまい─

選手/男子0名、女子3名

芦屋浜シーサイドタウンの高層住棟の空中公園と呼ばれる共用階を活用する提案である。現在は自転車やバイクの置き場になっているがエレベーターの停止階なので各住居に行くためには住民が必ず通る場所である。そんな空中公園にラック状の間仕切りを配置し情報交換をするシステムを提案している。作者の狙いは現在有効活用されていない空中公園を住民の活動の拠点とし、孤立してしまった住民のコミュニティを復活させることにある。住民同士が空中公園に設置された掲示板を通して情報を共有し、空き部屋を皆で勉強部屋として利用したり、キッチンを設けて食事会を開いたり、楽器を持ち寄って演奏会を開催したりと、作者の夢は広がる。芦屋浜シーサイドタウンは1979年兵庫県芦屋市芦屋浜の埋め立て地に「海に立つ超高層団地」として誕生した。しかしながらエレベーターは7、12、17、22、27階にある空中公園にスキップストップする為、住戸に行くには階段を使用しなくてはならない。住民の高齢化に伴いバリアフリーにするにはハードルが高い構造だが、住む人のライフスタイルに応じて空き部屋の間取りを変更できれば、単身者や若い家族連れの入居者が増え、団地再生の道が開かれるのではないだろうか。(廣瀬)