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三井所清典会長


2017年 年頭所感(会長:三井所清典)

あけましておめでとうございます。

新しい年を迎え、全国の47 都道府県の建築士会の皆様と建築士の皆様に謹んでお喜びとお祝いのご挨拶を申し上げます。

今年こそは平穏な日々を送れますようにとお祈りいたします。
昨年は人々のそういう年初の祈念に反し、じつにいろいろな面で胸がどきどきすることが起きました。非常事態の日常化ともいえるほどです。それが日本ばかりでなく、世界のいろいろなところで発生しました。落ち着いて考えてみると、普段に非常時のことを予想して生きる生き方を発見する努力が必要になっているということでしょう。
私たち建築士にとっては、まずは地震対策、地震対応です。

昨年4月14 日、16 日と二度の最大震度7を記録した熊本地震が発生しました。5年を経過していた東日本大震災の住宅復興がまだ手つかずのところが多いというのに、新たに熊本の住宅復興に精力を注ぐ必要が発生したのです。

そして熊本で応急仮設住宅がようやく完成した昨年10月21日、鳥取県中部で最大震度6弱の地震が発生しました。倉吉市や三朝市など被災した住民や自治体は大変だと思います。鳥取県建築士会員の地域貢献活動を見守り、必要な支援には建築士会連合会が応えていきたいと思っています。

専門家としての建築士の平常時からの地震対策は耐震補強推進と実践活動がまず考えられます。大地震に見舞われた後の対応は応急危険度判定、被災度判定、住民の相談対応、保険会社査定協力などの発災直後の対応に引き続いて、応急仮設住宅建設、自立再建復興住宅対応、公営復興住宅建設対応、損傷した公共建築や商店やオフィスビルなどの民間建築の改修や建替事業への対応などさまざまな仕事が想定されます。それら諸々の活動は非常時の活動で、発注と受注という関係も日常の受発注の関係とはまったく違います。受注後の仕事の仕方も、日常の仕事の関係者との話合いだけでは事は手際よく進みません。発注の要件が「早くかつ安く」ということになり、その発注が一挙に「たくさん」発生することが平常時と異なります。誰に頼んだらよいかがわからない潜在的な発注者である被災者もたくさんいて、その対応も必要です。そういう発注者を含めできるだけたくさんの被災者に、いち早く、安心できる住まいを実現し、被災者が生活復興のために仕事ができる住まいの環境を整えてあげる必要があります。とりあえずの住まいで家族が共に生き、仕事ができるようになれば、住居はそのうち増築もでき、より立派で望ましいものに成長させることができます。商店や事務所もとりあえず仕事ができる環境をできるだけ早く、安く復旧することが大切です。

「早く、安く、大量に」というつくり方は成熟期に入った現代の社会では、平常時の丁寧にかつ個性的」にという基本的要求とは異なり、突然非常時の要求に応えることは大変難しい仕事になります。

震災時の建築士の活動の確立した様式はまだありません。熊本地震での復興活動はまだ始まったばかりで、準備が進行している状況です。建築士会の活動もまったく同様ですが、その活動はこれまでになく新しいものがありますので、簡単に紹介します。

一つは、建築士会は流通業の人たちと連携して、宇城市の要請に応え60戸の木造応急仮設住宅を建設しました。まず建築士会連合会は木と住まい研究協会(流通)と共同で熊本県知事と木造仮設住宅建設の協定を結び、熊本県建築士会宇城市部会員の建設会社と県内の大手の流通企業3 社と連携し、宇城市内3 団地で30 戸、20戸、10戸の仮設住宅を建設しました。熊本県建築士会は中尾会長の細やかな配慮で宇城支部会員が積極的に取り組み、現場で地元工業高校の建築科の生徒の指導も担ってもらいました。仕事の早さと手際のよさに高校生は感動したようでした。

二つ目は、益城市仮設住宅団地での建設予定の自立再建復興住宅のモデル住宅への取り組みです。1,000 万円で建設できるモデル住宅への取り組みのため、熊本県建築士会は若い会員と設計ワークショップを開催しました。木造軸組住宅をローコストで、早く建設でき、都市型と農家型、子育て世代と高齢世代向き、さらに熊本各地の町並みや集落景観を配慮するモデル住宅の検討でした。

三つ目は、モデル検討を土台にして、自立再建復興住宅建設のための準備です。熊本県建築士会は、住宅設計の建築士が木材をはじめ、住宅部品の流通について、全国レベルと県内レベルについてそれぞれの企業と非常時の役割を理解するために面談し、その後で工事を担う工務店と面談し、相互の役割についての認識を深めることを行っています。

四つ目は、住宅発注の可能性のある被災者の住宅相談対応の体制づくりです。

昨年は、これらの取り組みを行っていますが、いよいよ今年は具体的な実践活動が始まります。まずは住宅再建が順調に開始できることを願っているところです。
昨年11 月には「パリ協定」が発効し、一層の地球温暖化抑制を促進することになります。

健康のためには温かい居住環境の実現が望まれますが、日本は化石燃料に頼らないエネルギー開発と活用が期待されます。今年は「ZEH」※住宅の推進も大きなテーマとなります。四季の変化の豊かなわが国らしい住まい方を推進するZEH 住宅に取り組みましょう。

※ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略